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床には、胃液を吐いていて、食欲も無く、動きも緩慢。まさか、腸重積？と、胸と胃の間からひやーっとしたモヤモヤが湧いてきた。
最近暑かったし、夏バテかもしれない…毛玉がお腹にあるだけかも…、ととりあえず様子を見ようと二人で決めても、一日中、ずっとそればかりが気になって、落ち込んでいるような、気が急いているような感じ。
井上は、「鬱っぽい…」とまで言って横になっていた。
朝は、トマトとピーマンとチコリとチーズをたっぷり入れたオムレツと、残りのごはん。
お昼は、もう、大好きなカップヌードルシーフード味と、UFOで済ませた。
美味しいとか美味しくないとか考える余裕もなかった感じで、言葉数も少ない。
一人でもそもそとめんつゆのレシピを書いていると、窓の外から、昨日の夜から聞こえている猫の鳴き声。
なんというか、「にゃー」とかそういう可愛い鳴き声でないのだ。「わびゃー！わびゃー！」としゃがれた、必死な声。
昨日は、どんなぶさかわいい猫なんでしょうねー！とのほほんと思っていたけど、あまりに必死なので気になって窓の外を見た、ら、
黒ゴマのように、ぽつんと、ちいさな猫。
子猫だ！！
こっちを見て、必死に声を張り上げて泣いている。子猫にしても、ほんとうにちいさいし、ずいぶん痩せている。
時々、外から野良猫がやってくることはあっても、ここに成猫はいない。でも、あの大きさは独り立ちしている年頃ではないはず。
置いていかれたのか？ごはんは？ちゃんと生きていけるのだろうか？
親心が出てしまった井上とわたしはすぐさま梯子とカリカリを準備した。猫は、石段の上の植え込みに入ってしまったけど、相変わらずずっと鳴いていて、逃げない。
梯子を上ってそっと近づいていくと、黒い耳がひょこひょこと動いているのが見えた。近くに、水とカリカリを置いて、しっかり食えよと言ってその場を離れた。
しばらくしてもう一度覗いてみると、カリカリはきれいになくなっていたよう。
あの声はまだ聞こえてくる。たぶん親を呼んでいるんだ。戻ってきてくれますように。戻ってこなかったら、おまえはうちのこだ。
この子には、めんつゆのレシピを書いていたことと、黒い毛色から、「おつゆ」という名前を付けました。
おつゆ、大きくなれよ。
そして、どやどやと部屋に戻ってきたら、こちょねがでっかい毛玉を吐いていた。
けろっとした様子で、ごはんの催促。
なんやもー！心配したやんかー！と言いながら、二人して心底ほっとして笑った。
更に、井上のおとうさんから「川でナマズを捕れば最強の食材になる。仕掛けを作ってやろうjか？」とメールが。
この世は、素敵な親心であふれているのだなぁ。
今日はもう、ごはんはお休みの日とすることとして、夜も超簡単和風明太子スパゲティにした。
これだけ！
別に1日くらい栄養バランスが悪くたってなんともないっす。
パスタを茹でて、その間にボウルに明太子の皮をとったもの、バターを用意しておく。茹で上がった麵をボウルに加えて絡める。味見して、足りない分ちょっとめんつゆ（早速作ったばかりのめんつゆを使った）。
ポイントは塩でもなくしょうゆでもなくめんつゆを使うこと。丸い味に仕上がります。
これ、簡単だし材料も少ないけどシンプルにとても美味しい。うどんや、ごはんでも合うので、もう何もしたくない時に。
生クリームなどを加えるレシピも美味しいけれど、なくても充分。
井上の「ぼくのいちばん好きな食べ物はコレかもわからんね」が出ていた。
それいつも言ってるますけど真に受けていいんですか？井上さん。
そして、食後に、梅シロップを炭酸で割って飲む。（通称：梅ジュ）
炭酸水は、ネットで安くで買っています。スーパーで買うとものすごく割高なので。
ペリエかウィルキンソンあたりが安くて炭酸が強くて好き。 そのまま飲んでも美味しいので、常備しています。うちは只今二人ともニートなので、節約のため、3日に1回しか飲めないけど…。
明日の朝のために、クルミ入りのパンを仕込んだ。
灯りの下でこちょねが横になり、おつゆの声が夜の奥から聞こえてくる。
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