2017年9月17日日曜日

20170917

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42号線沿いのローソンで、井上はアイスカフェラテを、私はホットのデカフェラテを買った。コーヒーは弱いのだけど、ミルクがたっぷりでこれはこれでとてもおいしい。
手にもって、道路むかいの防風林を抜け、浜辺へと出る。




空は曇っているけれど、北の空は、薄いベールがかぶさったようで、印象はとても明るい。
広い広い浜辺には、見渡す限り人っこひとりいない。わたしたちは浜辺を砂を気にしながら波に近づき、黒い波のあとから数メートル離れて調節腰を下ろした。
遠い台風が運ぶ風はしめり、すこしひんやりとしている。手の中のカップが、あっという間に冷めていく。
きれいな石を探して集め、井上に差し出す。井上が写真をとり、石のことなどもう忘れて、波をふたりで一心に見る。
波は、大きくなったり、ときおり小さくなったりしながら、少しずつ高くなっているようだった。波と乾いた砂との境界線が少しずつこちらい迫ってきて、あるときわっとあふれる。

すこし沖のほうで、ボラの群れが跳ねながら移動していき、まるでサーカスのよう。
ああ、350円で買える最高のぜいたくよ。
なんという自由よ。

夜から雨が降り出した。
うちには、天井裏というものがなく、直接屋根が載っている。2階は、雨が降ると雨音に包み込まれて、目を閉じると雨に打たれているかのよう。でも、その雨は体温とまったく同じ温度でとてもやさしいから、肌に当たっているとわからないだけなのだ。
そんなことを考えていたら、口の中に、レモンとりんごを混ぜて薄めたようなよだれがわいてきた。それはとても懐かしい味だったけど、いつ感じた味なのか、感覚なのかはわからない。

それよりさらに数日前、ベッドを解体した。
2階には2部屋あって、寝室と、楽器置き場とクローゼットがわりとなっている部屋がある。そこにはそれぞれ2台のベッドがある。
このベッドは、家に合わせてお父さんがつくったもの。それはまさに、家にあわせてつくられた、ナチュラルでしっかりとした素晴らしいもの。
しかし、部屋に対して大きいので、そう簡単にはどかして掃除ができず、ハウスダストアレルギーもちのわたしたちはちょっと困っていた。
そこで、生活改善のため、折り畳みのソファベッドを2台買って、並べて使うことにしたのだ。

マットレスをどかし、ベッドを室内でチェーンソーで分解して庭先に運び出した。ベッドの下には、誇りと猫との毛と髪の毛、そしてムカデやカナブンの死骸も……。
部屋を入念に掃除して、そして新しいベッドを設置する。わたし1人でも簡単に動かせて、寝心地も思っていたよりずっとよく、機能性は抜群。見た目は以前よりずいぶんしょぼくなってしまったけど、なんだかピカピカの生活がはじまったという感じがする。
家とベッドを作ってくれたお父さんにはとても申し訳ない気持ち。

朝、起きたら、布団を片付けて、ベッドをソファに直す。1階に降りて、口をゆすぎ水を飲み、顔を洗ったら、充電しておいた掃除機を手に寝室に戻り、部屋中ベッドを動かしつつ掃除機を隅々までかける。
そしてピカピカの床に夜がマットを敷いて、10分の短いヨガと、ストレッチをする。
ずっと、1人でじっくりヨガやストレッチができる空間がほしかった。念願かない、わたしは今体を動かす喜びでいっぱいとなっている。

雨のざぁざぁを聴きながら2人で気持ちのいい寝室にじっと動物のように丸くなっていると、心のそこからじんわりと温かい泉みたいなものが湧いてくる。
熱いルイボスティーと、焼きたてのバナナのスコーンに、カスタードクリームをぬって。

本格的に雨脚が強まり、今日は一日庭にも出れないような大粒の雨。風もびゅうと時折強く吹く。風が雨音にリズムをつくりだし、まるで波音のよう。海と雨と寝室とがつながって、遠浅の海のような眠気がやってくる。

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