2016年11月26日土曜日

インドカレーとチャパティ、ちいさなカブ、羽毛の時間

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湿っぽい曇り空。はっきりしない意識で朝ごはんをもぐもぐしていると、調律師さんがやってきた。
今日は、午前中、ピアノの調律。音が狂って、せっかくの演奏が耳にきつく聴こえることもあったので、とてもうれしい。




調律師さんは、気の優しい、居心地の良いおじさんだった。
うちに上がってすぐ、ピアノにとりかかり、そのまま、うちの空気にすーっと馴染んでいった。

おじさんのピアノをかたかた、ぽろんぽろんとやる音を聴きながら、寒くて毛布にもう一度くるまって、本を読む。
井上もやってきて、二人でひとつの大きな塊になる。

眠くなってくるころ、調律が終わって、もうお昼になっていた。

急にお腹がすいて、しかもどうしても、インドカレーがチャパティで食べたい気分!こういうことは、ときおりある。それが、冷蔵庫のなかにあるものでなんとかなるときは、とっても幸運。

ふつうの強力粉と、全粒粉を1:1でミックスして、塩少々、水でこねる。イーストは入らないので、適当でも大丈夫。ベタつかず、しっとりまとまるよう、水分は手に水を付けながら調整すると良い。水分が少なすぎると焼いた時にぷくっと膨らみにくい(膨らまなくても、おいしいけれど)。
表面がなめらかになったら、オリーブオイル少々を加えて、更にこねる。一度オイルでまとまりがなくなった生地が、さっきより気持ち良い手触りに、つるんとまとまるまで、オイルをなかに練り込むようにしっかりとこねる。
できた生地は、タッパーに入れるか、ラップや固く絞った布巾をかけて、30分くらい休ませておく。

残り物の、はしっこの人参や、ごぼう、たくさんのたまねぎ、にんにくしょうが、それらを、各々、フードプロセッサーで適当な大きさに。これは、いっぺんにやらないこと。それぞれが一番ふさわしいかたちになるように、ちゃんとフードプロセッサーのなかを見ながら、少しずつ細かくしていく。(もちろん、全部手切りにしても良い。餃子などは手切りじゃないと、やっぱり全然だめ)
乾燥のレンズ豆は、ほんの10分くらい、さっと洗って水に浸けておく。

鶏胸肉も、一口大に切ってから、細かくすりつぶれないように気を付けて、がーっとやる。

香味野菜をしっかりと炒めて香りを出したら、カレー粉も加えて、粉っぽくならないようにしっかりと炒める。そこにひき肉も加え、さっと炒め合わせ、水、塩、ローリエ、浸しておいた水ごとレンズ豆も加え、ことことの火加減で火にかける。豆が煮えたら、塩、ナンプラーで味を調える。これで、コンソメなどは入れなくても充分にうまみが出る。トマトペーストなどほんの少し足しても良いかも。
さらっとした、日本のカレーとはちがう、あっさりとしたカレーです。でも食べやすくて、癖はあんまりない。本場のとはちょっとちがうかも?

チャパティを焼く。フライパンを中火で熱し、薄く延ばした生地を油なしで焼いていく。両面を、白くなる程度に焼いて、もう一度ひっくり返すと、ぷくーっと膨らむ。おいしい焦げ目ができたら、焼き上がり。どんどん焼いて、できあがり。(火からあげると、しゅんと潰れますがそれで大丈夫)



ダルチキンカレーとチャパティ。

カレーには、ヨーグルトを混ぜて食べてもすんごくおいしい!くるみを砕いてちょっと加えても、食感にアクセントが出て最高。香草を合わせても良い。

もちっと、でもあっさりとおいしいチャパティ!こねるのが少し手間だけど、やっぱり、インドカレーには、これがなくっちゃ。さらっとしたカレーと調和するのは、ナンよりチャパティだ。


はぁー、本当においしい。残り物と、いつものカレー粉だけで、お外ごはんの味。しあわせ。田舎に来るまえは、ちょっと特殊な食べ物とか、おいしいちゃんとしたパン屋さんとか、行くのは難しくなるだろうなぁと思っていたけど、そんなもの自分で作れば良いだけで、なんの不便でもないのだと知った。(上手な手抜きの方法も、うまくなった)
もちろん、上手につくれないものもたくさんあるけど、それは、どっかに行ったときの、濃厚なお楽しみとなる。

井上はほんとうに、なんでも喜んで食べる。朝は食パン1枚で文句も言わないし、コーヒーはインスタントで万々歳。

昨日行ったブックカフェの、おしゃれ雑誌でみたおしゃれ夫婦は、旦那さんが朝から自家製の天然酵母パンを焼き、自家焙煎のコーヒーを淹れて飲むのが日課と書いていて、なんだか映画みたいだなと思った。ときどきは良いけど、ちょっとかっこよすぎる。

わたしは、なんか、かっこよすぎたり、隙がなさすぎるのが、あんまり好きではないのかもしれない。気の抜けた、しわのついたパジャマみたいな暮らしであったり、ごはんであったり、ひとであったり、そういうふうなものが好きだと思う。

カレーも、いつも本格的なカレーばかりだとつまらなくて、3回に1回くらいは、じゃがいもにんじんたまねぎの、安いルーで作ったカレーが良いと思う。井上とわたしは、食べ物の好みはちがう部分も多いのだけど、そういうところは一緒。だからすごく楽。


すこし前、きつねづかに植えられていた珊瑚樹を切り倒した。

おとうさんから「雨どいに葉が詰まるから、上から半分を切った方が良い」と言われていて、樹形は美しいけれども、そこに珊瑚樹がなければならない理由もないし、日当たりも道も良い場所なので、果樹なりなんなりに植え替えようと、根元から切ったのだ。

大きな木を切るのは、本当に大変!井上がチェーンソーで切り倒してくれて、それまでも大変だったけれど、さて、それを処理するにはけっこうな時間と体力が要る。
大きな幹や太い枝は、ちいさく切って薪にする。親指くらいの太さの枝も、良い焚きつけになるので、葉や、細すぎる枝を折ったり切ったりしながら、使える部分と使えない部分に分ける。

薪になる部分は分けておき、できたものから薪置き場へ運ぶ。階段があるので、まずは下段にどさどさと落としておき、それをもう一度集めて、一輪車で運ぶ。ごみになった葉っぱや小枝を集め、それを今度は裏手で腐らせるために、集積場所へ運ぶ。
黙々とやりつづけ、4,5日かけて、やっときれいになった。ああ、達成感。


休憩がてら、二人で、さいきんちょっとしたブームになっている、わたしのガラケーに入っている「パンヤ」とかいう、ゴルフゲームをやる。システムはまったく、なつかしい「みんなのゴルフ」と同じ感じ。
携帯なので、思ったようにボタンが押せなかったり、画面が小さくてシバが読みにくかったり、そういう不確定な要素が逆にスパイスとなり、二人でぎゃあぎゃあ言いながら必死で遊んだ。
井上はイーグルショットを2回も決めるし、わたしはロングパットが得意になって、鼻高々。まるでこどものよう。


昼にしっかり食べたから、夜は遅く、少な目になった。
夕方、畑の、こみあっているぶぶんの小カブを引いてきたので、わくわくしながら食べてみることに。
土のついた表面を、たわしで撫で洗うと、びっくりするほど白い肌が現われた。なんて、なんて、きれいなんだろう。実は、ふんわりとやわらかく、断面にはじゅわっと水分が染みだす。もう、切っただけでおいしいとわかる。
ピンポン玉より一回りくらい大きな小カブは、半割にして、断面に格子の切れ目を入れる。うっすらと塩をして、表面をほんのすこしだけ口当たり良くし、水でさっと洗って水分を拭いておく。
食べる直前に、断面に、しょうゆとごま油を一滴、二滴。余っていたゆずの皮も、ほんの、ほんのちいさなかけらをのっける。
かじると、やわらかいのにぱりっとした歯触りのあと、甘い水がじゅわーっと染みだして、ほっぺたが落ちそうになる。
うーん、正直カブはすこし失敗だったかと思ったけれど、こんなに美味しいとは!

立派なカブの葉も、わかめとさっと炒める。全然えぐみがなく、しゃきしゃきの歯ごたえで最高においしい。株は、根も葉も、どちらも甲乙つけがたくおいしいので、家庭菜園的に満点だな!

それに、ししゃもの焼いたのや昼の残りのカレーなど、美味しく食べて、食後は井上がいつも剥いてくれる柿と、熱くて薄い紅茶を飲みながら、暖炉で暖をとる。

なんとなく、「今日は屋根裏で一人で寝てみようかな」と言ったら、井上は少しだけ間を置いて、「一緒に寝た方がええと思うで」と言った。


夜は長く、やることは多く、やる気も暖炉も燃えている。厚着して、ニット帽まで被って、さてもうひとがんばり。
さっき淹れたばかりの白湯がもう冷たくなっている。

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