2016年8月2日火曜日

生まれたり死んだり -自家製ししとうとトマトのキーマカレー-

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8/1

10日ぶりに買い物に行こうとバイクで家を出発して間もなく、前方に汚れた軍手のようなものが落ちているな、と思って近づいたら、それは子猫の死体だった。



あっ、と言う間に通り過ぎた後、井上にお願いして戻ってもらい、なきがらを道の横によける。そのままにしておくと、もっと無残なことになってしまうので。

猫はまだやわらかかった。そんなに轢かれて時間が経っていなかったのかも。目も飛び出しているし、内臓もはみ出しているけど、なんだかまだ命の名残がしっかりとそこにある感じがした。持ってみると、子猫は、ものすごく軽く、細く、一生懸命生きてきた、その最後がこれかと思ったら、胸に砂が詰まったみたいになった。
顔の部分を大きな葉っぱで覆って、手を合わせた。

そのあと、速玉大社へ友人の分のお守りを買いに行き、お参りの時に、「あの子が無事に天国へ行かれますように、それから、おつゆが無事に大きく立派なのらねこになれますように」と祈願した。


今日は、いつもとちがうスーパーへ。そこが唯一、わたしたちの住む井内まで、荷物を届けてくれるというので。8月からは、もうちょっとお財布のヒモを〆たいので、お金を勘定しながら買い物して行った。
買った物をサービスカウンターの人に渡して、「よろしくお願いします」と頭を下げたら、おばちゃんが両手の親指をきっぱりと立てて、両手で「ばっちぐーやで」とサインしてくれた。


新宮のコメダで、イチゴのかき氷を食べながら、下品な週刊誌や、美容系の雑誌、オレンジページなどめちゃくちゃに読んでいく。世の中の人は、貪欲やなぁと思いながら。
こちらに来てから特に、わたしはなんとなくふわふわしているのかも。世の中のあれこれに物欲も刺激されないし、これって老後みたい?

そして、その後は、紀伊佐野駅近くのスーパーセンターオークワへ。
ここは、スーパーとホームセンターと、ユニクロなどの衣料品、本、マック、ファミレス、ゲームセンター、そしてなんと映画館まである、この辺で一番すごいところ。

ここに来るたび、うーん、この感じはなんだろう?と思っていたんだけど、そうだ、ハワイに似ているんだ、と気がついた。港がすぐそばで、風もどことなく南国の風だし、スペースがだだっ広くて、建物も一個一個が大きいけど、隙間があって、ゆったりしている。それがなんだか外国っぽいのだな。コストコとか、ウォルマートが混じっていても違和感ないくらい。
ここのフードコートにサーティワンが入っているから、今度海外旅行来たつもりで食べよ。
というわけで、スーパーセンターオオクワいいぞ、みんな行くな。


帰り道、すっかり暗くなってきた。あと15分くらいで着く、という時、空がぱっ!と光った。

雷だ!

断続的に、山々がぱっ、ぱっと光る。轟は、バイクのエンジン音にかき消されて聴こえない。雨も、ぽつ、ぽつ、と肌に当たりだした。それがなんだか、たまらなく自由という感じがした。
わたしは、バイクの後ろで、腕の力を抜き、風に任せるままに小さく開いた。そうすると、風がからだの隙間をすーっと抜けて行って、雷の力強さと、雨が肌の上で弾ける感じに身を任せていられた。

家につき、急いで洗濯物を取り込んだら、そこからわーーーっと雨が降り出した。

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【朝食】
自家製パン
スイカ

【昼食】
自家製キーマカレー(ししとうとトマト)
おあげの茗荷味噌焼き

【夕食】
カレーの残り
高野豆腐とフキの煮物
レタスとアボカドのシーザーサラダ





8/2

少し、頭が痛い。昨日の夜はずーっと絵を描いていたので、少し目が疲れているのかも。
天気はかーんとしているけど、井上が言うには、午後から天気が崩れて雨が降るらしい。
せっかく今晴れているのだから、川に行こうよ~と誘ったけど、井上は全然気乗りしないみたい。井上は、子どもの頃来ているから、もうここにそういう興味はないのかもしれない。

わたしははじめての場所だし、今、こうしている28歳の夏は今しかないと思うので、もっと色んなところに行きたいんだけど。それはお金をかけて何かしたいってわけじゃなくて、たとえば散歩するとか、近所の川に行くとか、1つ奥にある集落に行ってみるとか、お弁当持参で行けるようなことでいい。そういうのがここの醍醐味だし。
井上はインドアだ。原付の免許取りたくなってきた。

強制したって、嫌がられるだけだものなーと思って、一人で家を飛び出した。日をさんさんと浴びながら、川の方へ。

川は透きとおってきらきらと光っていた。もう、どうしてカメラを持ってこなかったんだろう。
上流の、いかにも遊泳場所というところには子供たちがたくさん来ているけど、もう少し下流の、橋の下には誰もいない。ここは、「だん」と言うらしい。
川辺へ降りて行って、サンダルを脱いで、ふくらはぎから下をひたした。冷たい川の水が、足の肌をつるつる洗って行く。足をじっと動かさないでおくと、1~2㎝くらいの小さな細い魚がやってきて、足の皮膚をついばんでいく。ドクターフィッシュみたい。
それから更にじっとしていたら、次は3~4cmくらいの魚も寄ってきた。これは、触ってこない。でも、興味深そうに、ちろ、ちろ、と足のまわりを回っていて、すごく可愛らしい。

そうしていたら、日は暑いし、泳ぎたくなってきてしまった。泳ぐつもりなんてなかったから、ふつうの格好で来てしまっているけど、周りには誰もいないし、橋があるから死角になるし、水着みたいなデザインのスポーツタイプの下着だったから、きょろきょりあたりを見渡してから、えいやっと脱いでしまった。

まず、ひざ下を浸け、膝、太もも当たり、と浸けていく。腰回りをなんとか超えて、下っ腹がつかるくらいに、ひーっとなった。この水の冷たさ!
一度浅いところにもどり、お風呂に入るみたいに、腰を下ろしてみた。そうすると、半身浴しているみたいになる。まさに入浴するみたいに、水を手で腕や肩や胸元にぴしゃぴしゃとかけて少しずつ慣らし、どんどん水へ浸かって行った。胸元は心臓があるからか、ものすごく冷たく感じた。
ついに首まで浸かり、空を仰ぎ浮かんだら、首と頭のしんがつーんと抜けて行った。その瞬間、昨日バイクの上で感じたより更に大きな「自由な感じ」に包まれた。

10代で、ジャック・マイヨールの、『イルカと海に帰る日』を図書館で借りて読んだ時、その終盤の、「人間は水棲人間に進化するべきだ!」みたいなオカルト的発想がその時理解できないと思ったけれど、きっとジャックは、深海で、この「自由な感じ」の最たるものを味わってしまったんだろうな。と今なら思う。

思う存分水に揺れたあと、お腹が空いて、陸に上がろうと水の中を歩いていると、足の裏が、ごつごつした石に当たって痛い。腰をかがめて、体を小さくして、できるだけ水に体を浸けていると、浮力で、足に体重がかからなくなって痛くなくなる。
これは子どもの感覚だ。小さくて、軽くて、痛いところがなくて、お腹が空いている、何も怖くないような、でも何かに怯えているような…。


帰って、冷蔵庫の肉を塩漬けにしたり、おかずを数種類作り置きしたり、キッチンで忙しくする。
起きてきた井上と遅い昼食を食べる。彼は、なんだかぼんやりしているみたい。
お父さんから、「ばあちゃん家にあるアルミの椅子を解体して送ってほしい」と言われていたので、ばあちゃん家に換気がてら取りに行く。
結局、椅子は送らないことになったけど、井上がばあちゃんちのうちわを持ってきてしまった。
そのうちわがとても面白くて、花火の柄なんだけど、なんとぼんやり遠くを見るように見つめていると、リンゴが3Dで浮かび上がってくるのだ。

井上は、割とすぐ、くっきりと浮かび上がるリンゴが見えたらしい。わたしもわたしも、とやってみたけど、なぜか、わたしには、りんごが凹んで見えてしまう。同じものを見てもまるでちがうのがふしぎで面白い。気がつくと、夢中で二人で小一時間遊んでいた。


夜、ピアノを弾こうと、楽譜ファイルに手を伸ばしたら、小さな小さな蜘蛛が、わらわらわらわらーとファイルからこぼれるように出てきた。
ピアノの裏で、卵が孵ったよう。子育てに疲れた元気のないアシダカグモが、ピアノの裏側にくしゃっと貼りついている。
猫が死んで蜘蛛が生まれて、わたしは自由で、なんだか濃い二日間。


雨は降らなかった。そのかわり、空気がまとわりつくように重く湿っている。
わたしはくすぶっているみたい。


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【朝】
白ごはん
ベーコンエッグ、レタス
ヨーグルトと桃

【昼】
ニラとナスとひき肉のオイスター炒め丼
オクラの梅浸し
みょうがとごまの冷奴
桃とカッテージチーズのサラダ

【夜】
日清の焼きそば(袋麺) たくさん


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