草刈りミイラの日 ‐できあいの餃子と茗荷のぬか漬け-

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 今日は、わたしたちの大好きな叔母さんの命日。曇っているけど、しっとりと優しい雰囲気が、まるで叔母さんみたいな朝。
お味噌汁とぬかづけで、玄米しらすごはんをかかか、と食べて、お墓詣りへ。
名字のところに、小さなかわいいかえるがしっぽりと収まっていた。

午前中、わたしは何をしてたんだっけ？という感じ。何かちいさいことをずっとやっていた気がするんだけど、考えが散らかっていて、ぼーっとしていた。

結局、おつゆはその日、箱に入ってくれなかった。なんでだろう、井上が作った捕獲箱には食べに来てくれたのに。
より自然に見せかけるべく、井上は工夫した。

落ち葉や、枯れ枝を使って匠が自然に見せかけた箱です。
お腹を空かせていないだろうか、というかちゃんと生きているのだろうか？

井上は、ダイソン王子になっている。ダイソンの３種のノズルを持って家じゅうをきれいにして回る姿は頼もしい限り。わたしは掃除機が嫌いなのですごく助かる。
わたしも、負けじと玄関を掃除した。農作業した長靴で踏むと、玄関ポーチがあっという間にどろどろになってしまう。きれいになった玄関は、なんだか良い風が吹いているような気がする。

お昼は、ちまちまと残ったおかずを片付けた。コロッケ１個を半分こ、さんまの干物を半分こ、昨日の夕飯のオクラとささみの和えたん、モロヘイヤのおかかしょうゆ、トントロとニラの中華スープ。

気持ちはちょっと落ち込んでいるけど、なんかごはんはそれでもすごく美味しい。これは、元気というものだ。ちゃんと食べていたら、ちゃんと上がってこれるから、毎日毎日こつこつ続けていくだけなのだな。




お昼から、おばあちゃんちの換気に行く。大体１週間に１回くらい行って、小一時間くらい遊んで喋って帰ってくる。わたしはおばあちゃんちが好きだから、換気に行くのも楽しみ。
雨戸を空けて、窓を開けて、風が通ると、家が呼吸しているような気持ちになって気持ち良い。ばあちゃんちは生きているんだ。

井上が、わたしが死んでミイラになったら、わたしが淋しくないようにわたしのミイラの前で３０年踊り続けるという狂気の発言。３０年間ミイラの前で踊り続けてムキムキになった井上を想像したら、怖くて面白くてたまらなかった。笑っていいんだよね？

帰り位置はぐるっと散歩して帰る。家の窓中にぬいぐるみを縛り付けている家とか、こんな田舎にも色々あるものだ。そして、陽が照りはじめた。高台から見る田んぼは、太陽の下で黄色くなりはじめた穂がそよそよと揺れている。こういういちいちが美しく、わたしは毎日のようにここへ来て良かったなぁと心から思っている。

帰ってから、きつねづかの草を刈った。少しやっていると汗だくになる。蜘蛛の巣がひっかかって、土が顔について、どろどろのみにくい自分になる。そうしていたら、いつのまにかとてもすっきりしている自分に気がついた。

未来の不安や、不満を嘆いたり、同じことをぐるぐる考えていても、足元の草が枯れないようでは、だめなんだって思った。今、目の前のことを、一生懸命やっていると、いつのまにか道は整っていくのかも。
ここ数日、PC作業ばかりしていて、わたしはきっと少し参っていたのだ。もっと、土のことや、草のことをすればいい。どうしてか、時間がないような、追われているような気持ちになっていたけど、そんなに焦ることはなく、わたしはわたしの思うように一生懸命やればいいんだな、きっと。

嬉しい気持ちで、枝切りばさみでわしわしと枝を切っていたら、帽子のふちに木の棒がぶら下がっている。邪魔だなぁと思ってひっつかんだら、それは大きなナナフシであった。怖すぎ。


作業に没頭していて、ふと顔を上げると世界が青かった。日が落ちたんだ。


急いでごはんの支度をする。と言っても、今日はすぐできる。メインは、買ってきた、できあいの生餃子を焼くだけ。

それに昨日の夏野菜揚げ浸し、大豆とひじきの煮物、冷やしトマトと、茗荷のぬか漬け、玄米。
食後には花さんからもらったスイカ。皮の部分を思い立って、お漬物にしてみた。さて美味しいのかしらね。


汗まみれの体を洗い流してワンピースを着たら、自分が良いものになった感じがして、香水も振った。
冷蔵庫の中から、氷が作られて、ごととと、と落ちる音がして、ああ、いい夜だなぁと思った。



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