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目の前で、いくつも白や黄色のひかりがはじけるような天気。うっとりと日差しに肌をあてて、伸びをする。これなら、山登りもばっちり。
うれしくなって、トーストにチョコを並べて、あまく、あまくして頬張った。
わたしは、起きるのが一番遅い。
早くから来て作業してくれているおとうさんおかあさん、そして井上。全部が動き出してから、わたしはのそっと起きだして、こっそりかくれるみたいにあさごはんを食べる。なんか、小学生が学校をずる休みして、「さわやか3組」(みんな知ってる?)を見てるときみたいな気持ちで。
朝ごはんを食べたら、みんなで山に出発!
くるまで3分くらいかな。入口は、家からかなり近い。今回は、前回行った山より、自分ちの土地は近いと聞いていたけど、予想外にハードな冒険となった。
何せ、道が急な勾配のけもの道が多く、ときおり、両手両足をつかって、どうぶつのようによつあしとなり、全身を使って登り降りしなくてはならなかった。
足元は、やわらかな腐葉土で、体重をかけるとふかふかと沈み、しょっちゅう滑った。細い道は、一人が歩けるのでやっとの幅しかなく、何回か転びながら、少しずつ、じぶんちの土地を目指して山のなかを4人がんばって進む。
いたるところに、いのししやシカの痕跡。うーん、どうぶつって、ほんとうにすごい。こんなところ朝飯前だというのだから。
おとうさんとおかあさんもほとんど来たことがなく、もう10年以上も入っていなかった山。生えていた植物が育ち変わり、どんどん道に迷っていった。ずいぶん高いところまで来てしまった、となったとき、10mくらい前方の大きな木の下に、こんもりとした白っぽいなにかが貼りついているのが見えた。
それは、なにがあるのかはさっぱりわからないのに、わたしは「あそこに大変ななにかがある」となぜかわかった気がする。
「おとうさん、なんかある!」と言って突き進んでいくと、それは舞茸の大きな株であった。
興奮しすぎて、口がとんがっている。
舞茸の名まえの語源は、「見つけたら、舞い上がって喜ぶから」らしい。きのこ採りのひとにとっては一番のお宝で、とっても貴重なのだそう。
そんなものをぽろっと見つけてしまうなんて。道に迷ったのではなく、舞茸に導かれて、わたしたちはそこまでやってきたという感じだった。
舞茸をいただいたあと、みんなでお昼ごはん。おかあさんが、おいしいお弁当を作ってきてくれて、ありがたくいただく。おべんとうって、なんでこんなにおいしいんだろう。おかあさんが作ってくれたから、なおさらであった。
食後、また山のなかをさまよい、自分ちの土地を探す。
途中、川のそばに出た。そこは昔、冷泉が湧いていて、沸かして入る風呂場があった場所。朽ちかかったちいさな風呂小屋が、今も残っていた。水は惜しげもなく流れているけど、トンネルの工事とともに、冷泉は湧かなくなってしまったんだって。
その小屋も、大きなかまどのあとも、田んぼの石段も、ぜんぶ苔に覆われて、誰に使われることもなくそこにあるだけになっている。たった数十年で、あまりにいろんなことが変わってしまったんだな。
結局、行き道ですぎたあたりが、うちの土地だということがわかり、一件落着となる。
山にある蔦、つるを、かごのために採って帰る。おとうさんが、ねじれた太い持ち手のような蔦を、井上が、すくっと天に伸びた美しい蔦を採ってくれた。それらを組み合わせて、どんなものでもわたし次第だ。すごく楽しみ。
この山では、たくさんそういうものが採れる。そんなの、ほとんどのひとにとってはどうしようもないつまらないものかもしれないけど、わたしにとって山は、キッチンの次にわたしを生き生きとさせてくれる場所だ。
山から降りてきて、国道のところまできて、急に現実に引き戻される。ここは、平成28年の日本で、井上の手にはiphoneが握られているのだ。変な気分。
帰って、畑のことを少々やり、休憩したら、もう爆睡。
夕飯は、いつもよりおそがけに、井上のために、舞茸とベーコンの和風パスタ、わたしのために、舞茸のホイル焼きをつくる。
舞茸は、肉厚で、市販のものよりずっと存在感があり、味も濃厚だった。内心、「これって舞茸…だよね?」と思ってひやひやしたけど、どうやら大丈夫そう(と、ブログを書いている夜中に)確信した。
1kgちかく採れたから、あしたおとうさんとおかあさんにおすそわけしよう。
そして、今日は、わたしたちTOWAtextileの4回目の結婚記念日であった。
4回目!
なんて月日が経つのは早いのだろう。信じられない気持ち。
たとえば5、6年前のわたしは東京にひとりで住んでいて、そのころの自分は、「わたしは数年後には、誰かと結婚して、田舎に住んで、山で採ってきた舞茸に舌鼓を打つだろうな」なんてみじんも考えたことはなかった。
自分が思わなかった方向へ、自分が思っていたよりもずっと面白くてあたたかい場所へ、わたしの人生は転がっているよう。
それはすべて、井上と、おとうさんおかあさんと、そして周りでわたしたちを支えてくれて、応援してくれた、すべてのひとのおかげだ。わたしはなにもせず、その手に守られて、ここまでやってきた。
感謝しています。甘えっぱなしで、ごめんなさい。わたしはわたしでしあわせにやりますから、どうかこれからも見守ってください。
甘えたり、甘えられたりしながら、日々が続いていて、けして完全に独立して生きていくことはできないという気がします。
わたしはそれを、うれしく、うつくしいと思っています。
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わたしは、起きるのが一番遅い。
早くから来て作業してくれているおとうさんおかあさん、そして井上。全部が動き出してから、わたしはのそっと起きだして、こっそりかくれるみたいにあさごはんを食べる。なんか、小学生が学校をずる休みして、「さわやか3組」(みんな知ってる?)を見てるときみたいな気持ちで。
朝ごはんを食べたら、みんなで山に出発!
くるまで3分くらいかな。入口は、家からかなり近い。今回は、前回行った山より、自分ちの土地は近いと聞いていたけど、予想外にハードな冒険となった。
何せ、道が急な勾配のけもの道が多く、ときおり、両手両足をつかって、どうぶつのようによつあしとなり、全身を使って登り降りしなくてはならなかった。
足元は、やわらかな腐葉土で、体重をかけるとふかふかと沈み、しょっちゅう滑った。細い道は、一人が歩けるのでやっとの幅しかなく、何回か転びながら、少しずつ、じぶんちの土地を目指して山のなかを4人がんばって進む。
いたるところに、いのししやシカの痕跡。うーん、どうぶつって、ほんとうにすごい。こんなところ朝飯前だというのだから。
おとうさんとおかあさんもほとんど来たことがなく、もう10年以上も入っていなかった山。生えていた植物が育ち変わり、どんどん道に迷っていった。ずいぶん高いところまで来てしまった、となったとき、10mくらい前方の大きな木の下に、こんもりとした白っぽいなにかが貼りついているのが見えた。
それは、なにがあるのかはさっぱりわからないのに、わたしは「あそこに大変ななにかがある」となぜかわかった気がする。
「おとうさん、なんかある!」と言って突き進んでいくと、それは舞茸の大きな株であった。
興奮しすぎて、口がとんがっている。
舞茸の名まえの語源は、「見つけたら、舞い上がって喜ぶから」らしい。きのこ採りのひとにとっては一番のお宝で、とっても貴重なのだそう。
そんなものをぽろっと見つけてしまうなんて。道に迷ったのではなく、舞茸に導かれて、わたしたちはそこまでやってきたという感じだった。
舞茸をいただいたあと、みんなでお昼ごはん。おかあさんが、おいしいお弁当を作ってきてくれて、ありがたくいただく。おべんとうって、なんでこんなにおいしいんだろう。おかあさんが作ってくれたから、なおさらであった。
食後、また山のなかをさまよい、自分ちの土地を探す。
途中、川のそばに出た。そこは昔、冷泉が湧いていて、沸かして入る風呂場があった場所。朽ちかかったちいさな風呂小屋が、今も残っていた。水は惜しげもなく流れているけど、トンネルの工事とともに、冷泉は湧かなくなってしまったんだって。
その小屋も、大きなかまどのあとも、田んぼの石段も、ぜんぶ苔に覆われて、誰に使われることもなくそこにあるだけになっている。たった数十年で、あまりにいろんなことが変わってしまったんだな。
結局、行き道ですぎたあたりが、うちの土地だということがわかり、一件落着となる。
山にある蔦、つるを、かごのために採って帰る。おとうさんが、ねじれた太い持ち手のような蔦を、井上が、すくっと天に伸びた美しい蔦を採ってくれた。それらを組み合わせて、どんなものでもわたし次第だ。すごく楽しみ。
この山では、たくさんそういうものが採れる。そんなの、ほとんどのひとにとってはどうしようもないつまらないものかもしれないけど、わたしにとって山は、キッチンの次にわたしを生き生きとさせてくれる場所だ。
山から降りてきて、国道のところまできて、急に現実に引き戻される。ここは、平成28年の日本で、井上の手にはiphoneが握られているのだ。変な気分。
帰って、畑のことを少々やり、休憩したら、もう爆睡。
夕飯は、いつもよりおそがけに、井上のために、舞茸とベーコンの和風パスタ、わたしのために、舞茸のホイル焼きをつくる。
舞茸は、肉厚で、市販のものよりずっと存在感があり、味も濃厚だった。内心、「これって舞茸…だよね?」と思ってひやひやしたけど、どうやら大丈夫そう(と、ブログを書いている夜中に)確信した。
1kgちかく採れたから、あしたおとうさんとおかあさんにおすそわけしよう。
そして、今日は、わたしたちTOWAtextileの4回目の結婚記念日であった。
4回目!
なんて月日が経つのは早いのだろう。信じられない気持ち。
たとえば5、6年前のわたしは東京にひとりで住んでいて、そのころの自分は、「わたしは数年後には、誰かと結婚して、田舎に住んで、山で採ってきた舞茸に舌鼓を打つだろうな」なんてみじんも考えたことはなかった。
自分が思わなかった方向へ、自分が思っていたよりもずっと面白くてあたたかい場所へ、わたしの人生は転がっているよう。
それはすべて、井上と、おとうさんおかあさんと、そして周りでわたしたちを支えてくれて、応援してくれた、すべてのひとのおかげだ。わたしはなにもせず、その手に守られて、ここまでやってきた。
感謝しています。甘えっぱなしで、ごめんなさい。わたしはわたしでしあわせにやりますから、どうかこれからも見守ってください。
甘えたり、甘えられたりしながら、日々が続いていて、けして完全に独立して生きていくことはできないという気がします。
わたしはそれを、うれしく、うつくしいと思っています。
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こんにちは(^^)
返信削除結婚記念日おめでとうございます!
お二人だったら幸せに10年、20年と迎えられそうですね♪
(うちは今年苦しみながら何とか10年を迎えました・・・苦笑)
それと、娘への手紙有難うございました♪
娘もとても喜んで、嬉しそうに読んでいましたよ~(^▽^)
手紙のイラストもとても上手だったし、ほんと多才ですよね~!
たかのん
結婚記念日だったんですね!おめでとうございます^^
返信削除お二人のブログを読んでいると、本当にいい夫婦だなぁと感じますよ。
山もいいですね〜。これからどうなっていくのかワクワクします!
>たかのんさん
返信削除たかのんさん、こんばんは!
いや~結婚って良いもんでもあり、もちろん、自分が試される場でもあり。
お二人みたいに、可愛いこどもがいつかわたしたちのところにも、縁あってきてもらえたら嬉しいんですけどね!
手紙、届いて良かったです!
茶封筒ですみませんでした(笑)
絵は、あの日を思いだして、にやにやしながら、心をこめて描きました!喜んでもらえて良かった~
>いなっちょさん
結婚記念日のお祝いありがとうございます!
いやはや、嫁を三浦春馬くんに会わせるために努力を続けるいなっちょさんには敵いませんな。
仲の良さくらいしか何も持っていないので(笑)これからもそんな姿が見せられるよう、井上にもう少し優しくしようと思います。
山は規模がでかくてどうしたらいいか迷ってます。
ハーブとかなんとか育てばいいんですけど。
ところでいなっちょさん、手編みのかご要りませんか?
あの手編みのカゴですね!ほしいなぁ^^
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