2016年7月12日火曜日

6/21~6/27 水と草と陽と

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6/21

明け方、外からゴーッという地鳴りのような音がして目が覚めた。なんだなんだと、井上さんも起きだしている。それは雨だった。視界を塗り潰す、超大粒の雨。風は無い。ただ、地面をまっすぐに打ちのめしている。台風でも、そんなに怖いなんて思わないのに、はじめて雨が「恐ろしい」と思った。以前、ここは川が氾濫し大規模な水害にみまわれている。それを思うととても眠っていられなかった。こんな雨が、ずっと降り続いたのだろうか?



昔、父と母が、こちらの方までドライブに来た時、同じように強烈な雨が降ってきて、前が全く見えず、あわてて近くにあったドライブインに滑り込んだら、中から出てきた人に駐車代を払えと脅された、という話を繰り返し聞かされたが、きっとその時、こんなだったんだろうな。
「あんたの住むとこの雨は、他のとことはちがうのよ」と何度も言っていたけど、あれはほんとうだったのだ。

そして、起きだす頃に、雨はぴたっと止んで、まるでスイッチでもあるかのように、あっぱれな晴れ間となった。魔法のように。

昨夜のオーバーナイトのパンは、朝、こんがりとそれは美味しく焼けた。外はかりかりと、中はもっちり。小麦の味だ。何もつけなくてもおいしい!と二人で大興奮しながら食べた。これで、田舎には美味しいパン屋がない、と毒づくこともない。ないなら、自分で作ればいいのだ。

枝葉を切りまくり、やっとやまももへの道が切り開かれた。たわわなやまももの実。まだ明るい赤が多いけど、あっと言う間に熟していくだろう。嬉しくて、井上に、この場所を「『ももトピア』と名づけます」宣言をした。

夕方、硬い硬い玄関付近の土を掘り返し、葉山椒、実山椒の苗を植えた(お父さんがホームセンターで買ってくれたもの)。50cmほど掘り下げただけで、片手では持てないくらいのもの、握りこぶし大のもの、じゃがいもくらいの、大小様々な石が転がり出た。それを除けてしまうと、ごっそりと土が減ってしまい、土を足す。土だらけだと思っていたこの場所で、まさか「土が足りない」という事態になるとは、思ってもみなかった。

お風呂に入りながら、なんだか沁みるなぁと思っててのひらを見たら、豆が2つできて、しかも潰れていた。なんだか誇らしい。こんな種類の喜びがあることを知る。

こちらに来て、初めて写真を撮る。
わたしの農作業用の帽子にすっぽりと収まるこちょね。





6/22

誕生日、ということに、友人が送ってくれたメールで気づいた朝。井上さんに「誕生日だった!」と言ったら、ほぉー!と言いながらほっぺたにキスをくれた。
天気はぐずついている。曇ったり、ちょっと降ったり。洗濯物が一向に乾いてくれず、困る。

晴れ間を利用してブルーベリーの木の周りを剪定していたら、ぶんぶんと周りを飛び回る大きな虫の姿。まさか…と目をこらすと、ブルーベリーの木の中、わたしたちの手の届きそうな場所に、スズメバチの巣。青くなって逃げ帰った。あんなに近くで飛び回るのを無視してがんがん枝を切っていたのに、よく刺されなかったものだなぁ。
調べてみたら、わたしたちの見た円錐型の巣はまだ作りかけの巣で、たくさん蜂が生まれるのはこれからだそう。だから助かったのかな。
明日必ず、町役場に電話すること。



6/23

朝、スズメバチの件を役所に電話したら、「本当ですか!じゃあ今から行くんで…15分くらいですかね。よろしくお願いしまーす」と言われ、えっ、と思っていたら、ほんとうにすぐに役場の名まえが入ったバンで、人の良さそうなお兄さんが二人やってきた。

お兄さんたちは、予想に反して、町役場Tシャツにチノパンだった。軽装やな~!と思いながら、巣のある場所まで案内すると、巣が良く見えるとこまです~っと言って、至近距離で確認して「ありますね!じゃあ後やっときますんで。終わったら声かけま~す」と軽い感じで請け負ってくれた。
わたしたちは安全な室内から、その様子を見ていた。殺虫剤を噴射するお兄さんは防護服を着ているけど、後ろに控えているお兄さんは町役場Tのまま。

数分後、全てをふわーっと終えたお兄さんたちは、お礼の缶コーヒーを受け取って爽やかに帰っていった。

やまももの初収穫。まだ少し早いかもしれないけど、とても良い香り。やまもも酒を、150g分だけ仕込む。



シロップは800g分。ドリンクやかき氷にしようと思って。美味しくできますように。



6/24

バイクのオイル交換のため、街に出た。その近くにあったホームセンターで、おもむろに大葉の種を買う。
明日からの親族の集まりのための食材もがんばって買った。おとうさんの好きなものなど、井上さんから色々教えてもらう。

あいさつまわりで紹介して頂いたおばあちゃんから、「これ植えろ」と言ってネギの苗をもらった!この、初心者やろ、ネギからやれ。みたいな優しさが身に沁みる思い。とても嬉しく、何度もお礼を言う。「お返しとか考えんでな。それ余りやからな。なんでもあるから。ほんまになんも要らんからな。」と言って、おばあちゃんは正義のヒーローのように颯爽とスクーターで帰っていった。

夜中、大雨になった。その中、大阪から法事のためにおとうさんとおかあさんが田舎へ来て、冷凍食品など差し入れを持ってきてくださる。なんてありがたいんだろう。シカ肉や鮭など、拝むような気持ち。

≪朝ごはん≫
白ごはん
大根と卵のスープ
だし、大根葉のふりかけ、がり
アメリカンチェリー

≪昼、夜ごはん≫
お好み焼き
焼き野菜



6/25

朝、焼き立てのパンが美味しくて、わたしは幸せ。
朝、二人で散歩していると、野生の赤紫蘇を見つけ、丁寧に引っこ抜いて持ちかえった。上手く増えてくれたら、美味しいドリンクにしたいと思って。それを、奥の畑のすみっこの方に植えてみる。どうか根付いてくれますように。

夕方、早くも熟したやまももの実がどんどん落ちているので、井上がかごいっぱいに収穫してくれた。あの一粒一粒が種なのだ。強烈な生命力。
半分は、おとうさんのお友だちへ。半分は、ジャムにする。香りがとても良く、さっぱりと甘い…これまで作った色んな手作りのジャムの中で一番好きかも知れない。そして、間違いなく、一番手間がかかっている。(またレシピにします)

夕食は6人そろって食べる。大好きな顔ぶれで、それだけで嬉しい。

≪朝ごはん≫
焼きたての自家製パンなど

≪昼ごはん≫
さんまのみりん干し、ミョウガの甘酢づけ
豚出汁の卵とわかめのスープ
大根おろしだしがけ
煮豆
ぬかづけ
白ごはん

≪夜ごはん≫
豚の角煮
イカといんげんのにんにく肝炒め
新しょうがと生節
サラダ
まいたけと卵の味噌汁
甘酢漬け2種
白ごはん



6/26

叔母さんの1周忌。納骨の時は大変な雨だったけど、今日は快晴。ただしとても暑い。
叔母さんが天国で笑顔だから晴れたのだろう。良かったなぁ。

昼は、とても美味しい仕出し弁当を食べ、みんなでのんびりとする。おとうさんとおかあさんは、午後からも「きつねづか」の手入れなどしてくれる。

夕方、試験的に、色んな場所に大葉の種をまいてみた。

夜にさしかかるころ、おとうさんとおかあさんは、再び大阪へ帰っていった。大阪に残してきたおばあちゃんの体調が思わしくないよう。心配だ。

≪朝ごはん≫
自家製パン
サラダ
ヨーグルト(ブルーベリーとやまももジャム)

≪昼ごはん≫
仕出し弁当

≪夜ごはん≫
おかあさんが買って来てくれたお弁当など



6/27

気持ち良く、晴れている。
もう一泊してくれたあっちゃんのんちゃんと共に、蕎麦好きのんちゃん絶賛のお店へ4人で行くことに。小高い山の上のこだわりの蕎麦屋さんだ。しかし、臨時休業。実は、前回来た時も臨時休業だったので、2回来て、2回ともフラれていることになる。
仕方がないので山を下り、おいしい和食のお店へ。でも、なんとここは定休日。もうここまで来ると笑えて来て、結局イオンのフードコートのごはんを、4人笑って食べた。わたしは、4人で走り回れて、なんだかとても楽しかったな。

山道を走ったから?走行中、メーターのところに小さな尺取虫がひっついているのに気づき、ふっとばされないよう、停まるまで手のなかでかくまった。ちこ、ちこ、と脱出を試みる姿がとてもかわいい。

そしてまた二人になった。

今日は、「きつねづか」の裏側を整備する。わたしは昨日、家の中のことが忙しく、全然参加できなかったのだけど、井上さんはお父さん曰く「気が狂ったように」草刈りをしたらしく、腰よりも高く伸びていた草むらが、ちゃんと「道」になって、裏側まで続いていた。すごすぎる!


ヒモが回転して刈るタイプの草刈り機。飛び散った草や木片が飛び散って近寄れないくらい。フェイスガードや作業用のウェアは必須です。



おつかれさま。

裏側には、みょうがが自生しているのだろう。お父さんにどれがみょうがか教えてもらって、収穫に備え、みょうがや草が混ざって混沌となった草むらに道を作っていく。
どうしても抜かざるをえなかったみょうがは、もう一段下をちょっと掘って、無理やり植え替えてみた。
ついでに、やまももと、自生しているフキを採る。フキは少し遅いかも、と思ったけど、北側の土地だからか、大きくなりすぎておらず、まだまだ食べられそう。やまももはジャムに、フキはすぐに水煮にしておいて、水にさらしておく。水をこまめに変えていれば、3日くらいは充分おいしく食べられる。今日の夕飯のお味噌汁には、細いとこを選んで加えた。淡い風味が引き立って、とても美味しい。

≪朝ごはん≫
パン、ヨーグルト

≪昼ごはん≫
私)冷やし中華
井上)かつ丼

≪夜ごはん≫
角煮(残り物)
ぬかづけ、大根葉のふりかけ
セロリいっぱいのサラダ
卵なっとう
ふきとおあげの味噌汁
白ごはん

裏側は、そこらへんの土を掘ると、どこを掘ってもさつまいものように赤く、ぶっとい根っこが縦横無尽に現われる。本当に、びっくりするほど赤いのだ。まさに「きつねづか」の血管のよう。自然というものは、生々しくてけっこうグロいのだとここに来て気づかされる。横浜にいたころ、草や木や花はわたしよりか弱いものだと思っていたけど、それはとんだ思い違いだったのだな。
道具が無ければ、わたしたち草も刈れないんだから。

夜はまた雨になった。




この週のわたしの日記には、「生命力」「自然」「生きている」という言葉が、何度も出てきます。ぐんぐんと伸びる草に、すぐに張り巡らされる蜘蛛の巣に、蜂の羽音に、自分よりも大きな獲物を運ぶアリに、みみずに、大輪のダリアに、追いつかないほど熟して落ちまくる果実に…その強さに圧倒されて、自分の価値観が変わっていくのを感じていました。



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