誤算の赤い実と一人ハワイ

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結局、PCは壊れてしまった。

一応、ネットくらいはできる（たぶん、もうすぐできなくなると思うけど）ので、もう動作ががたがたのPCから書いている。
新しいのは、仕事関係の人に相談して買った。マウスコンピューターのやつで、メモリが16GBと働きものなやつを選んだ。今、日本のどっかで、わたしのためにPCが組まれていて、12日に手元に届く。なんだか、たいへんなことだなぁと思う。

摘んださくらんぼを、ジャムにする。
ちいさな虫食いや、鳥のつついた跡があるのや、烈果してしまったものだけを使う。てきとうに種を抜く。元からきれいな実は、ていねいに種をとり、別のデザートに使うためにとっておく。

ちょっと、畑のそばで自生していた草いちごも混ざっています。

さとうは、甘さ控えめの20％。
あればキルシュやブランデーをいれてもおいしいだろうなぁ。
強めの火加減で、かーっと煮ていく。途中であくはこまめに掬って、せっかくのさくらんぼのきれいな色が出るように。最後に火を止めてからレモン汁を加えます。

熱いうちに瓶に詰めて、できあがり。
ピンク色の飲みものは、とった灰汁をお湯でわって、さとうとレモン汁で味を調えたもの。ホットチェリーです。

パンも焼いて、さっそく塗って食べてみたけれど、さわやかでとてもおいしい。パンは、薄力粉と強力粉が半々くらいの、あっさりとやわらかいのが合う。


外へ出ると、6月の晴れの日のように暖かい。

井上が、今年最後と思われるたけのこを掘ってくれ、それを水煮にする。飽きるほど繰り返したこの作業も、来年までお預けかと思うと、少しさみしい。和食に中華に洋食にと、とにかくたくさんたけのこを食べた春だった。

バイクに乗って、すこしでかける。
肌に当たる風が丸っこく、素肌がむきだしの首元や足首まで、冷たいところがいっこもない。かといって、体のどこも熱くなく、のびのびとしていられる。こういう日は、年に3日くらいしかないから、わたしは井上のうしろで胴だけで伸びをした。

最近、新宮のスーパーセンター（スーパーとか、ホームセンターとか、ユニクロとか、チェーン店のレストランとか、映画館とかがまとまっているところ）にあったマクドナルドが新しくなって、そこがじつはかなり気に入っている。

独立店舗で、天井が高くて、壁面がガラス張りでとても解放感がある。田舎だから、平日の昼間の早い時間なんて本当にのんびりした雰囲気で、都会やショッピングセンターの中のマクドナルドとは、ぜんぜんちがう。
マクドナルドの雰囲気が好きだとか、落ち着くなんて思う日がくるとは思わなかった。
しかし、このマクドナルドが、というより、このスーパーセンターあたりって、なんだかほんとうにハワイみたいな空気があると個人的にずーっと思っている。

海のそばで、すぐ背後に山があって、駐車場や店舗がひらぺったくて馬鹿でかくて、人が多くても人口密度が低い感じ。来ている人がみんな、あまり他人を気にせず、買い物をのんびり楽しんでいる感じ。ロケーションが似ているから、空気のにおいも似ているのだ。

でも、きっと、このへんはハワイみたいだなぁと思っているのは、おそらくわたしだけだと思うので、この空間をいちばんぜいたくな気持ちで利用しているのはわたしにちがいない。
こんなのは、捉えかた次第なんだと思う。どれだけ特別な場所にいたって、何も感じなければ一緒だものね。

ふたりでポテトとドリンク2つ頼んで290円でハワイを満喫して、買い物して帰ったら、もう夜。
安くで買えたお刺身やあるもので作ったこまごましたおかずをじーんとした気持ちでつまむ。自分で言うのもなんだけど、もう何を食べてもおいしいって感じだ。

井上は、PCに向かって、ああでもない、こうでもないとがんばってやっている。
わたしはわたしで、夜中に、明日つくるチーズケーキのボトムのためのビスケットを焼いたり、ゼリーをつくったり。

夜と朝の隙間にわたしたちはごっそりはまっている感じ。
夜が明けるのが日に日に早くなっている。

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